料理をするということ

あちらでの生活では料理をすることができなかった。
厳密にいうと料理をする時間がものすごく限られていた。


そのこともストレスを溜め込む原因になったような気がする。


ウイークデーはもちろん休みの日でさえも
いつも何かに迫られているような気がしていたし
あんまり料理に手間をかけて頑張りすぎると
疲れが抜けきれずに仕事に影響すると
いつもビクビクしていた。
現実に影響があったかというとはっきりわからないけれど
精神的にはいつも仕事第一に、
そして追い詰められていたように感じます。


鶏肉一つにしてもそう。
かつては鳥の胸肉をまとめて何パックか買ってきて
一口大に切り分けて、それを一回に使う量ずつに
スーパーでもらってきたビニール袋に分けて
冷凍庫で保存していた。


いざ料理に使うときには
にんにく醤油に加えてさらににんにくのスライスを
解凍した鶏肉の袋にいれて下味をつける。
そのままなべや料理に使うときもあれば
その鶏肉に小麦粉や片栗粉をまぶして
それをうすくひいた油でいためて
なんちゃって唐揚げを作ってた。
油をたくさん使って本物の唐揚げにしないのは
油の節約と油の処理の簡素化のためだった。



それがすでに切りそろえられた割高な鶏肉を
何の下味もつけずになべに放り込むだけ。
包丁も使えば洗わなくちゃいけないし
とてもじゃないが自炊はできていなかった。
肉体的にも、精神的にも追い詰められていった。


今少しずつ健康な頃の自分を取り戻そうとしている。
だけどいつも不安に思う。
また以前と同じ状況になるのではないか。

体の疲れももちろんあるけれど
この漠然とした不安からずっと抜け出せない。