雪とパイナップル 鎌田實 集英社

専門書を読む時は辛さが先にたってしまうけど
小説やエッセイは一気に読めてしまう。
ここ2,3日こんなことを思うたるみです。



今回は大人が読む絵本。
絵本とは言ってもこれは実際に起こったことである。


ウクライナ
今大統領選が世界中の注目を集めている国。
ソビエト連邦の中の構成国のひとつだった。
そして今年バロンドールを獲得した
アンドリュー・シェフチェンコを輩出した国。


しかし我々にはウクライナという名前より
ウクライナにあるひとつの都市の名前の方が
はるかに馴染みがある。



チェルノブイリ



1986年原発事故を起こした場所だ。




「雪とパイナップル」はウクライナの北に位置する
ベラルーシが舞台だ。


チェルノブイリ原発事故が起こった時
ちょうど北に向かって風が吹いていた。
核に汚染された物質が風に乗ってベラルーシに流れていった。


この原発事故によって白血病におかされた
アンドレイ、アンドレイの家族、
そしてアンドレイを治療するスタッフのお話。



闘病中のアンドレイ。
自分には何の非もないのに
病におかされた。
肉体的な苦痛、死への恐怖、経済的な問題。
納得のいかないことだらけだ。


有効な治療法が限られ、
絶望が支配するそんな中でも
そんな中でも人は人に感謝することができる。
作者はそんな風に言っている。


食事を採れないアンドレイのために
夜中、氷点下20℃の中パイナップルを
探しにいった日本人看護婦がいたそうだ。
アンドレイはパイナップルを食べて
わずかではあるが病状が回復する。
家族はその看護婦の気持ちに救われ、そして感謝する。


闘病の末、アンドレイは亡くなってしまう。
アンドレイのお母さんのインタビューから
当時のアンドレイや家族、スタッフの気持ちが伝わってくる。





こういうやさしい気持ちというのは
カタチやスウジにするのはむずかしい。
でも必要なものだと思います。